本展では、時間や重力など様々の不可避の仕組みによって「されてる今」自分が「する」ことを現れては消える今の
中で問い、試行し「描くをする今」が現れては消えた今も、現れているひとふでがきの作品、油彩の作品を発表いた
します。また、5月31日にはひとふでがきライブペイント「今描くものが、即、描いたものになりかわってゆく・
今見るものが、即、なくなってゆく/ゆかない」をおこないます。
齋藤春佳展
「今、魔物、ノコギリ、リコーダー、あたし、舌、滝、京橋、
しろつめくさ、酒場、ばつ、つば、バラ、落馬、ばらばら、
乱気流、後ろ、六畳一間、まとも、もしもし、しょうが焼き、
霧吹き、消え、絵、遠心力、クレーター、あなた、多面体、今」
今 唱え始めたしりとりを唱え終わった時になおも現れる 今 の中で、
現れては消え、現れては消えるすべてが、今もまた現れる。
今、直面したしりとりを順々に読んでいく間には、あたしやあなたや様々のものが現れては消え現れ
ては消えていきます。そのそれぞれは同時に読めないけれど、単体では成立しない今の仕組みの中に
あります。読む今が、現れては消え、現れては消えたとしても、今も、どこかで必ず、昔のものとも
さっきのものとも繋がっています。
さっき「描いた絵」は消えないけれど、さっき「描く行為」は消えました。
「描いた絵」は消えないけれど、今それを「見ること」は、現れては消え現れては消えていきます。
でも、「描いた絵」は消えないとは、本当は言い切れないです。
あなたがこの画廊に入った瞬間、現れたのかもしれない。
画廊から出た瞬間、消え去るかもしれない。
いくら確かに「見た」からといって、背中を向けた瞬間、本当は目の前以外の後ろには世界はないの
かもしれないように。
また、実際にもこの画廊に現れた展示空間は6日間で消えます。
けれど、今、ここに、あなたがいて、「見る」視覚の中に、絵はその瞬間確実に現れています。
あなたの今と描いた絵の今が現れあう瞬間。それが、現れては消えたとしてもまた現れる仕組みの今
に、現れては消え、現れては消えながら、その瞬間も現れては消えるけれど、それでもまだ今が現れ
る間は、昔のものやさっきのものが、無関係にはならないで、でる、ルビー、石、初夏、かもめ、目、
めくれ、レコード、どぶ、ブラジャー、あなた、種、眠い、今も、どこかでつながっていくものにな
るのではないか。あなたの今と描いた絵の今が現れあう瞬間は、目の前の今が消えた後も、あなたの
今が、絵の今が、現れる限りはずっと、消えるけれど消えない、けど、消える、けれど、消えない、
のではないでしょうか。そういった今の現われを、描いた絵が、来場者が、共に「する」場に本展が
なることを願っています。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
会期:2010.05.31(月)-06.05(土)
会場:GALLERY b.TOKYO HP: http://www.gallery-b-tokyo.com